宅建過去問 令和3年10月 問6(債権譲渡)問題
売買代金債権(以下この問において「債権」という。)の譲渡(令和3年7月1日に譲渡契約が行われたもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
- 債権が譲渡された場合、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、その後に発生した債権を取得できない。
- 譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債権者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。
- 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、その譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
120年ぶりに大改正された民法が令和2年4月1日から施行されました。
本問はストレートに新民法の債権譲渡の理解を問う問題だったね。
宅建過去問 令和3年10月 問6(債権譲渡)解答と解説
正解は…2
問6-1 解説
1. ○正しい
原則として「債権の譲渡は自由である」とした上で、旧民法では当事者間(債権者と債務者)の合意があれば債権譲渡禁止特約を付けることができ、その特約に違反した債権譲渡は無効とされていました。
しかし、新民法では以下のように債権譲渡禁止特約を付けたとしても譲渡は有効であると規定されました。
当事者が債権の譲渡を禁止し、または制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。(新民法466条2項)
ただし、それでは二重譲渡や差し押さえの競合があると債務者は誰が債権者なのか分からず問題になることが想定されます。
そこで以下のような供託の制度が新設されました。
債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。以下同じ。)の供託所に供託することができる。(新民法466条の2第1項)
よってこの問いは正しいとなります。
ちなみに「供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人および譲受人に供託の通知をしなければならない。(新民法466条の2第2項)」
「供託をした金銭は、譲受人に限り、還付を請求することができる。(新民法466条の2第3項)」まで一緒に覚えておこう!
問6-2 解説
2. ×誤り
本問はまさに新民法で規定された内容の理解を問う問題です。
債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。(新民法466条の6第1項)
債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。(新民法466条の6第2項)
よってこの問いは誤りとなります。
問6-3 解説
3. ○正しい
本問も新民法の内容をそのまま問う問題です。
譲渡制限の意思表示がされたことを知り、または重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。(新民法466条3項)
よってこの問いは正しいとなります。
問6-4 解説
4. ○正しい
本問も新民法の内容をそのまま問う問題です。
債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。(新民法467条1項)
前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。(新民法467条1項)
よってこの問いは正しいとなります。