宅建過去問 令和3年10月 問2(連帯債務)
債務者A、B、Cの3名が、令和3年7月1日に、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば誤っているものはどれか?
- Aに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して追う債務の消滅時効の完成には影響しない。
- BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。
- DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。
- AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
問2は「連帯債務」の問題だね。
連帯債務の問題は、それが他の人に影響しない「相対効」か、他の人にも影響する「絶対効」かを正しく判断する力が問われるね。
宅建過去問 令和3年10月 問2(連帯債務)解答と解説
正解は…2
問2-1 解説
1. ○正しい
複数人が連帯して債務を負う「連帯債務」は、原則として連帯債務者の1人に何かしらの事実が生じても他の連帯債務者には影響しない「相対効」です。
しかし、例外として1人に生じた事由が他の人にも影響する「絶対効」があります。
- 弁済等・債務・更改・混同
- ①以外の場合でも、債権者と他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは絶対効とすることができる。
本問では「請求」なので上記の絶対効が生じる事由には当たりません。
よってBとCには影響しない。この問は正しいとなります。
問2-2 解説
2. ×誤り
債権者Dに対し、連帯債務者であるBが相殺できる300万円の債権があるにもかかわらずそれを援用しない場合、同じく連帯債務者であるCはBの負担分(本問では300万円の1/3=100万円)を限度に債務の履行を拒むことができます。
Bの野郎、300万円の債権を持ってるならそれでチャラにして俺たちを助けてくれよ!
えっ?しないって?それならせめてBの負担分の100万円は俺は払わないからな!と、Cは主張できるということだね。
本問では「300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる」と書いてありますが、CがBの債権で相殺する旨の意思表示ができるのは(Bの負担分である)100万円までであり、300万円全額を相殺する旨の意思表示はできません。
よってこの問いは誤りとなります。
問2-3 解説
3. ○正しい
問1で解説したように、連帯債務で例外的に「絶対効」が生じる事由は「弁済等・債務・更改・混同」であり、「債務の免除」はこれに含まれません。
つまり、たとえCの債務が免除されたとしても、A(やB)には影響しないのでDはAに請求することができます。
よってこの問いは正しいとなります。
問2-4 解説
4. ○正しい
問1で解説したように、連帯債務で例外的に「絶対効」が生じる事由は「弁済等・債務・更改・混同」であり、「更改」は絶対効の事由に含まれます。
ちなみに「更改」とは?ここでおさらいです。
更改とは、連帯債務者の一人が債権者との合意により新しい債務を成立させた場合、旧債務を消滅させる契約のこと。
更改を行うと連帯債務は消滅し、他の連帯債務者も債務を免除されます。(絶対効)
ただし、更改を行った者は、それによって連帯債務を免除された他の者に対して後で負担分を請求することができます。
つまり、本問ではAがDと合意し「更改」を行なった場合連帯債務は消滅し、BとCはを免除されます。
問題には書かれていないけど、この後AはBとCにそれぞれ「100万円ずつ返してね」と求償するだろうね。
よってこの問いは正しいとなります。