宅建過去問 令和3年10月 問5(制限行為能力者制度)問題
次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 令和3年4月1日において18歳の者は成年であるので、その時点で、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することができる。
- 養育費は、子供が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない期間を対象として支払われるものであるから、子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する。
- 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。
- 意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。
これはクセの強い問題だったね…
正直判断に迷う選択肢もあったけど、1つだけは明確に正しいと言い切れるものがあったのでそれを見つけられたかどうか…
宅建過去問 令和3年10月 問5(制限行為能力者制度)解答と解説
正解…4
問5-1 解説
1. ×誤り
成人年齢が18歳に引き下げられる民法の改正は令和4年(2022年)4月1日なので、令和3年4月1日の時点で18歳の者は未成年です。
未成年は携帯電話サービスの締結や不動産賃貸契約を一人で締結することはできないので、本問は誤りとなります。
問5-2 解説
2. ×誤り
養育費の支払い期限に関しては特に規定はないものの、「未成熟の子供を養育する費用」という性質から一般的には子供が成人に達するまでとするケースが多いです。
しかし、例えば子供が経済的に自立している場合は成人に達する前に不要となるケースもありますし、また子供が大学や専門学校などに進学、もしくは心身に障害があるなど経済的に自立できていない場合は成人になっていても養育費の支払い終期を延ばすこともあります。
従って、「子供が成年に達したときは、当然に養育費の支払義務が終了する」は誤りだと判断します。
問5-3 解説
3. ×誤り
未成年者が保護者(法定代理人)の同意を得ずに一人で契約をした場合、原則としてその契約は取り消すことができます。
しかし例外として未成年者が単独で行なっても取り消せない行為が3つあります。
- 単に利益を得たり、または義務を免れる行為
- 法定代理人から処分が許された財産の処分行為 (例:お小遣い)
- 許可された営業に関する行為
本問では、営業を許された未成年者が「その営業に関するか否かにかかわらず」と記載されています。
「営業に関する」第三者からの負担付贈与であれば当該行為を取り消すことはできませんが、「営業に関しない」第三者からの負担付贈与は法定代理人が取り消すことができます。
よってこの問いは誤りとなります。
問5-4 解説
4. ○正しい
この問題は「意思能力を有しないとき」が具体的にイメージできるか否かが肝要です。
例えばお酒を飲んで酩酊状態のときが「意思能力を有しないとき」にあたり、意思能力を有しない人を「無意思能力者」と呼びます。
後見開始の審判を受けるか否かは「成年被後見人」の話であり、「無意思能力者」を問う本問では関係ありません。(ちなみに成年被後見人が結んだ契約は保護者が同意を与えた場合であっても取り消すことができます。)
意思能力を有しないときに(無意思能力者が)結んだ契約は無効とされます。
よってこの問いは正しいとなります。